いわき・久之浜(ひさのはま)
小名浜から陸前浜街道(国道6号)を北上します。
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海沿いのバイパスや国道を走ると、被害を受けたのは「町」というかたまりではなく、「海沿い」という全ての場所なのがよく分かる。
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こんな光景が、あまりにあちこちに。 きっと一度も報道されていない、被災地と括られない幾多の家屋が、
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千葉から青森まで、ずっと続いているのでしょう。

いわき市の最北、福島第一原発から30数㌔の久之浜町 久之浜(ひさのはままち ひさのはま)。
ご存じの方はおられるでしょうか。
原発がらみで双葉町・楢葉町は報道されても、津波でいわき市に大きな被害があったと新聞に書かれても、「久之浜」の名を
他県に住んでいて、聞いたことがある、と言う人は、そう多くないでしょう。

やはり津波の被害を受けた「蟹洗温泉 太平洋健康センター」のヒビの入った建物を右に見つつ、さらに北上。
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こちらは、津波の時に「温泉の入浴客が裸のまま流された」と噂が立ったところです。詳しく聞いたところ、地震でロッカーが倒れてしまい、着替えが出来なくなったため、バスローブを提供されてそのまま送迎バスなどで避難した。その後、津波が引いたので建物に入った人が、ロッカーに洋服が残されたままになっていたのを、服を着ずに流されてしまった、と勘違いした。らしい。
すでにホームページも無くなっており、噂とネットで検索した方には、相当の人的被害が出たと思われているようです。

久之浜漁港へ右折。
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なんか、見慣れないものが川に並んでる。。。。

それは、
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橋桁がすっかり流されて、橋脚だけが綺麗に残った、橋でした。

川に沿い、海に向かいます。
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護岸が、低い。 これでは、普通の台風なんかでも越して来ちゃうんじゃ。。。。 と思うくらい低い。

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住居はほとんどすべて、一階は浸水。 建物としてはダメージも少ないようですが、解体撤去の張り紙が。

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河口ギリギリの橋を渡ります。 土嚢が積んであり、そこにかかるんじゃないかと言うくらい、川面が高い。

さんざん映像で見た盛り上がる白い海面が、一瞬幻覚のようによぎりました。 日常が壊れたあの瞬間。

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川の北から南に渡るだけで、こうも被害が違うのか。。。


そして、
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これが、新聞やテレビでは、ほとんど登場しない、久之浜の被害状況です。

津波は第一波よりも第二波が大きく、いったん避難したものの波が去ったからと、自宅に荷物を取りに帰った人が、
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多く流されたと言います。薄磯とならび、いわき市で最も大きな被害が出たところです。
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このあたりに、建物らしいものは、残っていません。

唯一、この蔵を残しては。
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震災でか、屋根は落ちてしまっていますが、白い壁は津波にもそのあと町を包んだ猛火にも耐えました。

北町を左折。
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本来、久之浜で一番繁華な交差点です。
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街灯が溶けている。
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あの日、火災が発生しても消防車はとても入れなかっただろうし、しばらく燃え続けていたのは間違いないでしょう。
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うなだれるポスト。

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溶けた街灯の、すぐ近くの車たち。

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大槌町などの状況と、さして変わらぬひどさです。しかも、6月12日、三ヶ月も経っているのに。

ただ、この久之浜はいわき市で見た他の地域に比べて、復興へ向けての活動は目に見えるものでした。
大がかりな拠点はないものの、町に入る6号線沿いにボランティアの方と思しい人たちが、車を停め準備をしていたり、
町中でも瓦礫撤去や自宅の片づけ、車の出入りも多く、なんとか頑張って町を生き返らせようと、働き続けていました。

さらに進み、中町 諏訪神社前。
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右手の諏訪神社と、
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左手の民家。
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どこもそうでしたが、被害を受けたところと無事だったところの距離は、わずか10㍍です。

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久之浜第一幼稚園。一階は柱のみ残る、ほぼ全壊。
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幸い、園児は全員無事。現在は平の幼稚園などに通っているとのこと。笑顔で遊ぶことができるようです。

久之浜の、最後に。

町の中で、もしかすると一番しんぼう強く、働いているかもしれない方がここにおります。
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これ、換気用のダクトだよね。 すっぽりと収まったそのダクトの横には、「移転先・・・○○○」と。

誰かが見に来るのかなぁ。 不安な気持ちを抱えながら、尋ね尋ねてこの場所にたどり着く。 そして、クマと目が合って、横の張り紙を覗き込んで、ほっと安堵の溜息をつき立ち去っていくんでしょうか。

雨があのクマの上に、少しでも降らずにいてくれますように。

by degipochi | 2011-06-14 10:31 | 大地震


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