閖上の、たこ焼き屋さん
ねーちゃ月曜に帰ってきます。パワーアップしてスリムになって、たぶん越後の大魔王叩きつぶして、台風18号引っさげて。
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なにも出所すると決まった途端に、台風発生しなくてもいいと思うんですけど、これもまた運。ドラマチックに生きてます。

で、きのうの東京新聞の朝刊にですね、こんな記事が載ってました。
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読める? ちっと字が小さくてごめん。 でもたこ焼き屋のおばあちゃんの文は読めますでしょうか?

閖上(ゆりあげ)。

ひめポチ一行が、これまで行ったことのない、仙台郊外にあって名取川の大氾濫と津波により、壊滅してしまった町です。
いつも行くたびお世話になっとる、りんしゃん一家が釣りだの買い物だの、ボードだの食事だのと親しんできた町です。

そして、これが閖上のばあちゃんの、「串たこ焼き」です。
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よく買ってたんだって、このたこ焼き。ちょっとソース味が利いてて甘味があって、ふっくらカリッとした味わいです。

「すっごく美味しいって訳じゃないけど、懐かしいんだよね~ 屋台の味みたいで」とりんママは控えめに語っておりました。
「よく知ってるはずの場所なのに、ここがどこなのか分かんなくなっちゃうんだよね」とも。
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ほんとに、この旗が目印みたいな感じらしい。 あの角を曲がって、○○屋さんとこ入って・・・・みたいな記憶が、何の役にも立たない。
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初めてこの場所を訪れる私の目には、そこに幻のように町の記憶は立ち上がってこないけれど、りんママの目には
ブレるように滲むように、かつての町並みが見え隠れするんでしょう。 
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一緒にあちち、とたこ焼きつつきながら、絶対に共有することのできない体験が、川のように二人の間に横たわってるようです。

海からも名取川からもほど近い、この閖上2丁目という町中にあったお店。
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その向かいにある、日和山山頂に再建した閖上湊神社。 これが、現在のたこ焼き屋さんの目印です。

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かなり高い小山になっているけれど、津波はこの山頂の御社も押し流してしまいました。
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再建された、富主姫神社。 ソーラーが電力源です。丘から見下ろすと、西側の県道だけには電信柱が建ってますが
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県道を越した向こうのエリアや、神社の北側、名取川方面には、一本の電柱も建ってません。 
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ここから先に、家は一軒もないということです。 夜は完全に真っ暗になるんだな。。。


私事でありますが。
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あの日、地震でけっこう滅茶苦茶にひっくり返った自宅の三階で、慌てて点けたテレビにまず映っていたのが、ここでした。
最初、よく分からなかった。なんだか見たこともないスピードで川が動いてる。。。アマゾンのポロロッカみたいなことが起こってる?
なんだこの川と見ている画面が俯瞰して、周りを映したとき、猛烈な勢いで水が遡上しているのは川だけでない、と知りました。
町が、きちんと整列したビニールハウスが、美しく水をたたえた田圃が、いやそれだけでなく全力で走る車が、みるみる飲み込まれてく。

それを無言で追いかけていくヘリのカメラが、ふたたび海の方向を映したとき、もうそこに、さっきまで有った町は無かった。
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あってはいけないことが、今目の前で起こっている。。。。 という衝撃。なにかしなくちゃ、でもなにも出来ないという焦れったさ。
安全な練馬で、テレビに映ってる映像をのうのうと見ているという後ろめたさは、日を追うごと小さくなるものではなく、
長い間、私の足も目も、閖上いや仙台の名取川周辺には向きませんでした。
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行っては悪い、という変な罪悪感みたいなものが、拭い切れませんでした。

でもね、来てみて思った。 やっぱり来て良かった。 良かった、と言う表現は変かもしれないけど、良かったとしか言えない。

ここでも、人は笑ってる。 笑顔で、でっかい声で、来てくれて良かった~と言う。そして、また来てねと言う。

そっか、来ていいんなら遠慮なく来よう、そして震災後2年以上経って初めて来た人間の、見たものをそのまま伝えよう。

たとえば、
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このへんにだだっ広い、閖上湊神社の駐車場。 この地面をおかあしゃんが撮ってました。
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何この写真、被写体が分かんないけど、撮りそこなったの? と削除する気満々で聞いたら、
「そこ、歩道だったんだよ」

よく見ると、画面左に、うっすらと「視覚障害者用の歩道」が・・・・・・  ああ、ここには確かに町があったんだ。

それ以外にも、コスモス生い茂る足元に、
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可愛い柄が、かえってもの悲しい。

こんなささやかな、でも町にとって大事なかけらであったものが、誰にも見られずに今も点在しているのです。
住民の高台移転が決まった、この閖上という地区がどうなっていくのか、今この場所に立っていても想像はまったく出来ません。

でも、ここがこれから人の住まない場所になってしまっても、この小さな町のかけら達は、ずっと町の記憶を抱えていくでしょう。

ばあちゃんのたこ焼き屋さん、また食べに行きたいな。初めて食べたけど、懐かしい味だった。
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次回、もうちょっと海に近づきます。 朝市、やってるんですよ。 せっかくだから覗いていきませんか?



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by degipochi | 2013-09-14 02:04 | ゆりあげ | Comments(3)
Commented by 佐藤 幸弘 at 2013-09-14 06:17 x
はじめまして たこ焼きを焼かせていただいています佐藤と申します。
お買い上げありがとうございます。
ブログ読ませていただきました。本当に嬉しく思った瞬間でした。
たくさんの方が色々な想いで食べて下さる、その想いがたくさんの方に知ってもらえる、僕がこのたこ焼きをやりたいと思ったきっかけは「想い出」なのです。何もなければいずれ消え行く想いを何かのきっかけで想い出してくださればと思い始めました。似てると言って下さる方もいれば「おばぁちゃんのはもっと辛かった」や「甘かった」など色々言われますがそれはそれで昔を想い出してくださってると思いすごく嬉しくなります。そしてゆりあげに初めて訪れた方もこのたこ焼きをたべて「ゆりあげ」を感じて下されば、とても嬉しく思います。本当にありがとうございました。どうぞ、またゆりあげに来た時はお声掛け下さい。
Commented by りんまま at 2013-09-14 22:31 x
この日はやっと閖上に連れてくることが出来た日でしたね。
うん、私には沢山の家やお店があの日は見えていました。
でも不思議なことにどこがその場所だったのか、
人の記憶なんていい加減なものですね。
でも確かにあそこには街があって、
古いけど温かくて、
気性が激しくて、口は悪いけど優しい人たちが
沢山生活していた場所なんです。

なんか、今、ふと思い出した。
元漁師で大工の棟梁だった、おじいさんがいて、
海に行く途中で毎週逢ってたんだけど、
いつも‟犬に”散歩されてたの(笑)
とっても素敵な方が沢山いた地域でしたww

どこもそうだけど、沢山のストーリーがあるんですよね。

Commented by degipochi at 2013-09-17 23:11
佐藤さん、りんしゃん。
この度はゆりあげを案内していただきまして、またたこ焼きを焼いていただきまして、ありがとうございました。
いろいろと感慨深いものはあります。
ここからまた、人が集まり町が出来ていくのだなと。
ただ、高台移転とか障害になる物は多々あるでしょうけれども、きっとそれを乗り越えて町は生きていくのだなと。
それを、目撃できることは、一生の間に二度あることでは無いと思います(東京直下が来たら、話は別だがそれはおいといて)。
でも、新しくなった町は、かつての町とまったく別の物ではありませんし、まったく同じ物でもないでしょう。
同じ人、同じ光景、帰ってくるものも二度と還らぬものも、あるでしょう。
新旧ふたつの町が、時に二重になり、時にすれ違い、綾織りのように新たなゆりあげが出来上がっていきますことを。

ばあちゃんのたこ焼き完全復活を楽しみに、また伺います♪


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