行きずりの山にドラマ
お待たせしました。
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富士山攻略、中盤戦でございます。
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もうここは八合目、3000mの世界に入って来ております。
もはや引っ込みはつきません。

山小屋にむけて、もしくは山頂にむけて歩くのみ。雲は頭上でも目の高さでもなく、
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すぐそこの地面から。

積乱雲のようなのとかあや雲みたいなのとか、立体的に雲が立ち上がったり、するすると竜の頭のように降りて来たり、
あんなに気流に乗って自在に動き回るものだとは、初めて知りました。生き物だねありゃ。

そうかと思えば、突然山小屋横の斜面からくっきりと虹が立ち上がってみたり、日輪が出たり、舞台はめまぐるしく。
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快調にとばしてた先達が、その辺でちょっと困った顔して休憩してる。
息が切れかけ立ち止まってると、さっき抜いたおじちゃんが追いついて来て、「その手ぬぐい良いねぇ」と話しかける。
抜きつ抜かれつ。

なんだか、思い出すものがある・・・・・ この、抜いたと思った人がいつの間にか先に行ってる感じ。

夜の東北道。

いつの間にか、知らない道行き同士なのに、同志のような気分になって来る、あの感じ。
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面白いもんですよね〜。 やはり富士山も登山のドラマを持っている。

片やこの高度に関係なく、
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ランナーズハイならぬ、クライマーズハイ? な方も居り(知り合いです)。とにかく楽しいらしい。

高山病の不安さえなければ、自分ももっとはしゃいでみたいところだが、グッとこらえる。
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そう。 なにをそんなに恐れているかと言われれば、はっきりしているわけです。

「雲取山の悲劇」

5月に行った富士山の前哨戦、一泊二日の雲取山ではひでぇことになった。最初にちっと頑張りすぎてペースをあげすぎ、
道半ば、ちうより登りの1/3くらいのところで、ぱたっっっと歩けなくなった。
それからはまぁ気持ち悪いわ足は出ないわ、わずかな傾斜でも息が持たないわ、これが高所あたりちうやつかと。。。
みなさまお楽しみの昼食タイムでも、ひとり道ばたでばったり行き倒れて居るのをビデオに撮られており、
「遭難者の方がいま〜す」みたいになっておりました。
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(変な高さに月がある)

どこかが痛いとかだったら、そこが当たらない歩き方を考えるし、疲れたんだったら休めば回復する。
足が攣ったら押さえどころがあるし、水分や塩分の補給で復活するのも計算が立つ。

でもねぇ〜気持ちが悪いのは、どーーーーしよーーーもないですわ。
食べられないし飲めないし、休んでも立てば元通り、歩けば視界が暗くなる。血圧も下がってるんだよね。

で、あの時は、最終的に巻き道のエスケープルートを教えてもらい、リュックも持ってもらい、いっぽいっぽと
とにかく歩を進め、それでもダメで、、、て時に、神の啓示のように思いついた必殺・漢方薬「五苓散」でとつぜん回復した。
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(泊まるお宿のひとつ下、白雲荘)

あの時と富士山では高度が違う。1500m違う。 本気で具合が悪くなっちゃったら、ぜったい五苓散だって復活しない。

ちうことで、今回の富士山攻略にあたって私の編み出したのが、

「牛歩戦略」。

とにかく、息をあげない。 脈拍120くらいを上限に、とにかく心拍数をあげないこと。
高山病のスタートは、酸素不足。 吐くをメインの深呼吸を繰り返した。雲取山では、この深く吸うが出来なくなってた。
で、動いてみて逆算すると、一歩あるいて一歩休むと、ちょうど脈拍120くらいになる、とわかったのでそれを死守。
だれがどんなスピードで横を抜けていこうが、断じて影響されず、右・やすみ・左・やすみ・を繰り返す。
もともとが他人があきれるくらいのマイペースなので、こうと決まったら揺るぎない。
そのリズムが安定したら、息も切れず頭痛も目眩いも吐き気もなく、どこまでもあるける感じになって来た♪

この3200mの白雲荘あたりでは、だいぶ自分のペースを確立して、ぶっちぎりに早い先発隊と慎重な後部部隊の
ちょうど中間あたりで、これから登って来る仲間の写真を撮る余裕が出来ておりました。

その写真が、これ。
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ちょうと同じ頃、撮られてるおかあしゃんが、こちらを撮影したのがこれ。
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わかります? この、あっという間に出て来た、、、
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霧。


この間、二分あるかどうかだよ。

この万華鏡のような天気が、富士山なんですな。
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山小屋の上に、霧を裂くように光がはいる。
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それがみるみる広がって・・・・
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ほら、みてごらん♪
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先に宿に着いた仲間が、手を振ってるよ。

あそこまで登れば、もう今日はこれ以上歩かなくて済む。

と言いつつ、ここまで登って来た後発部隊は休憩を入れるので、私はひとりで先に出ました。

いっち にぃ〜〜 いっちっ にぃ〜〜 のペースは揺るぎなく。

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はい到着。本日のお宿、3250mの「元祖室」。


・・・・・・・・・・ 意外とイケんじゃねーか。


ちょっと自信をつけつつ、下を見下ろし、じりじりと上がって来る後発部隊(含むおかあしゃん)を待ち受ける。


おお、登ってくるわ登ってくるわ。
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・・・・・・・・・・・・・・?


ちっと人数が多くねーか?

おかあしゃんと、行きつけの居酒屋のにーちゃと、がっつり山男と、あとあの人とこの人と、、、、

でも、どうみても関係ない他の登山客と言うよりは、一団に見えるんだけど。
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夕方も近い、赤い富士山の斜面をバックに登って来る一団、その人数の不思議はこの後判明。
道ばたで伸びてる男の子と、そのおねーちゃんを拾ったからでありました。当然、子供がふたりでこんな高度まで来るはずもなく、お母さんが一緒だったんだけど、別行動になっちゃった、しかもお母さんの待つとわかってる、もっと上の山小屋まで到底もう歩けん、という一大事。
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もう夕暮れも近づいて気温もどんどん下がってくるこの時間に、とても置いておけるはずもなく、励ましながら
この山小屋まで、と連れて上がったて来たのだそうです。 とりあえずここまで来れば遭難ではない。
そう、夜にもなれば時に5度くらいまで下がる登山道。場合によっては命に関わります。山小屋はまさに命綱。
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とにかく、日が暮れる前に建物の中にはいれて、よかったね。おかえりなさい。
全山どこでも携帯が繋がる、今の富士山。お母さんとも無事に連絡が取れ、お母さん、山を舐めてはいけませんと
保護者代表が教育的指導をしたうえ、明日下山した母とこの辺で合流することになり一件落着。
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そして、あっというまに日が落ち、気温が下がっていく。
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今日はここで一泊です。 おつかれさまっした。
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初の富士登山、山小屋泊のAさんとBさんに聞きました。
「どうですか、登って来た感想は?」
「そーですねー いつもいつも出かければ雨とか嵐とか言われてましたからねー 晴れて感無量ですね」
「明日の山頂がまだわかりませんが、これなら楽勝でいけるんじゃないでしょうかね」
(プライバシー上、音声は加工してあります)

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そして、日が暮れる。

では、ちょっとだけ山小屋を紹介しておきましょう。
こちら元祖室は、たぶん標準的な富士山の山小屋と思われます。
トイレは外に併設してあり、使用料1回200円。水洗。紙は流してはいけません。便器横の箱に捨てます(??マジ)。
水は貴重です。なにより貴重です。見てご覧なさい、川もなし水場もなし、使える水は雨水だけです。
なので手洗いは3秒。洗顔、歯磨きはしないでください。風呂などもってのほか。そのまま寝ます。
寝床はこちら。↓
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ウナギの寝床、と申しますが、これはメザシの寝床でしょう。寝返りは高等技術です。
万床ではなかったがこの密度は変わりませんでした。緊急の避難客用に空けてある、ちうのは分かりますが〜・・・
このぎうぎう詰めが、高山病の一因ではないかい?と思う次第。
がっちり固まって横になってる間に血流も悪くなるし、そしたら心臓にも負担がかかる。水分摂るのに起きるのもはばかられる。そうこうしてるうちに、深夜症状が出て、そのまま悪化したちう人もけっこういました。
それよりゃ、あきらめてどこかによっかかってうつらうつらしてた方が、心肺機能には良い気がする。

そして夕飯。
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玄関はいってすぐの上がりがまち。=大広間。ちうか食堂。
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富士山定番、カレーライス。 実はけっこう食べられる。違う山小屋だと、これにハンバーグがトッピングだったりする。

で、ここまで普通だったのに、とつぜん「夕飯が食べられない自分」に気づく人も出て来る。

そう、高山病は風邪のようにさりげなくあなたの隣に来るのです。みたいな。
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明日の、朝食だか昼食だか、いつ食べても良いからというべんとーを頂き、本日の業務はすべて終了。
このべんとーの蓋に、なぜかマスクが付いているのだが、これが何のためか知るのは、まだ後のこととなる。

ちうことで。
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明日、晴れますように。


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by degipochi | 2015-08-08 02:39 | 山登り | Comments(0)


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